「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

それは犯罪。


今日、年下の友人(女性)と一緒に軽く飲んできました。
そこでの会話。
「これさー、別のトモダチに話したら『あんたそれヒドイよ』って言われたんだけどさー」
と前置きをして彼女は話し始めました。


「若い頃……そうだなぁ、ハタチくらいの頃なんだけどね。当時、知り合いの人と何人かで飲んでて、そのうちの1人(男性)と『そういう流れ』になったことがあって。その彼と付き合ってたとかじゃないけど、まぁこの人とならそういうことになってもいいかなー、なんて思って」


ふんふん、なるほど。


「で、その男の車で郊外のラブホに行ったわけよ。よくある普通のラブホなんだけど、たまたま部屋の内装がSMチックだったのね。いろんな道具があったり、壁に手錠みたいなのが鎖でぶら下がっていたり」


ほほぅ。


「特に2人ともそれに興味があったわけじゃないけど、そうやって用意されてると、遊びで使ってみてもいいかなーって気分になるじゃん? んで、男のほうが『使ってみよっか』って言いだして。で、あたしが『いいけど、先にあたしにやらせて』って、彼をそこに固定しちゃったのね。そしてその状態でふっと、なんかいろんなことどうでもよくなっちゃって。もう帰ろっかなーって気分になっちゃって、置いてきちゃった」


……ん? それは……そのままで?


「うん。さすがに素っ裸じゃなかったけど……どうだったかなぁ。あんまり覚えてないんだけど、多分、ズボンくらいは穿いてたと思う。で、ベッドに放り出してあった上着から財布が出てて、そこからタクシー代貰って彼はそのままに置き去りにして帰ってきちゃった」


……ひどくね? っていうか、財布から金抜いた時点で犯罪じゃね?


「えー? そう? ちゃんと『タクシー代ちょうだいねー』って声かけたよ」


えーと……その彼のほうはその後どうしたの?


「知らない。なんかあっけにとられてて『えぇー?』みたいな顔したままだったけど。そのままほんとに置いて帰ってきちゃったから。……やだなぁ、若気の至りだってば」


……それはいくらなんでもヒドイじゃん。ヒドイ女だな、おい!


「まぁ確かにそこまでやったのはその1度だけかなぁ。男がシャワー浴びてる隙になんかすっかり気分が覚めちゃって、財布からタクシー代だけ抜き取ってこっそり帰ってきたのは何度かあるけど。たまたまその部屋がSM仕様だったのがいけないんだよねー」


先日まですっかり忘れていたそれをふと思い出して、友人に語ったところ犯罪者扱いされたと彼女は言うのですが……犯罪ダヨネ。
っていうか、すっかり忘れていたというのもさりげなくヒドイ。
シャワー浴びてる隙に……というのならまだ話はわかるけれど、手錠で固定した状態で放置して帰ってきたっていうのが……。
まぁ、所詮はラブホの備品ですから、男性が思いきり力を込めれば壊せそうなものでしょうけれど。それに、ホテルには従業員もいるし、ああいうところは時間に厳しいから、チェックアウトの時間になっても出てこなければ従業員が様子を見にきたりもするだろうし。
……とはいえヒドイ。


更に驚いたのが、その知り合いの男性はその後も何度か彼女に連絡をとっていたらしく、そのほとんどを彼女は無視していたようですが、どうやらあまり怒っていなかったというのです。
そこまでやられて怒らない人ってすごくね?
当時はまだ、バブルの残り香があった頃で、一緒に飲んだ女性のタクシー代を男性が出すのは当たり前という風潮ではありました。自分が遠回りして一緒に乗っていくか、そうでなければ女性に1万円ほど渡して帰らせるというのが当然な時代ではありましたが。
……にしたって、自ら財布から抜くのはヒドイ。


「これくらいのこと、若い頃には何度かやったっていう人いるんじゃない?」
と彼女は言ってましたが。


やったことある人いますか?