「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

そういえばお盆の話。

お盆の話というか、家族の話。

私は昔から肩こりさんだ。自覚し始めたのは高校生くらいから。
姿勢はそんなに悪くはないが、視力が低かったのが原因じゃないかとも思ってる。
父も祖母も肩こりさんだった。
私を含めた3人に共通するのは読書好きという点だから、それも原因かもしれない。

で、母が肩こりを自覚したのはここ10年くらいのものだ。
母の趣味は編み物。そしてボランティアで書籍の点訳作業をやっている。
それでも、それまでは肩こりを感じたことはないらしく、たまたま点訳の流れで知り合った、目の不自由なマッサージ師さんに、
「そんな作業してるなら肩こってるでしょ」
といわれ、サービスで揉んでもらって、やっと肩こりの何たるかを知ったという。
つまり、自覚の無かった肩こりさん。これは、欧米の人に多いらしいですね。
肩こりに相当する単語が無いんだとか。

そして本題。兄です。
お盆に帰省した際、私はアン○ルツのマッサージ乳液を持参してました。
たまたま、母が「首がこった」というので、その乳液を塗ってあげていたら、兄嫁がふと呟くのです。
「そういえば、アノヒト(兄)が最近、首が痛いっていうんだよね」
兄は息子(私の甥)と一緒に近所の盆踊り大会にお出かけ中。
「肩こりと首こりじゃないの?」と私&母。兄嫁は首を傾げます。
「私もそう思ったの。私も肩こりだから、『肩こってんじゃないのー?』って言ったら、『肩なんかこってない!』っていうんだよね。で、肩はこらないけど首が痛い、首がまわらない、最近は胸のあたりも痛い、オレ病気じゃないかな…とか言うの。……病気じゃないよね?」
「あの人、馬鹿だから肩こり知らないんじゃないの?」と私(直球)。
「そうかもしれないね。私も最近知ったし」と母(私の直球を否定しない)。
「あー。そうかも」と兄嫁(兄が馬鹿だという前提は誰も否定しない)。

そんなこんなで兄帰宅。
同じ話をしてみるとやはり、
「オレ、肩なんかこってねえよ! 首だけ痛ぇんだよ! やべー。オレ、死ぬかも。これって整形外科とか行けばいいの?」
「まぁとりあえずちょっと黙って座っててみろ」と、マッサージ乳液(メントールが入ってるのでちょっとすっとする)を持って兄の背後をとる私。
乳液をちょっとぬりぬりして……
「首が痛いっつーと……このへんかしら(ぐい)」
「いてててて!そこ!」
「あとは、このへんとか(ぐりぐり)」
「そこそこ!いててて! なんで!? なんでわかるの!? やっぱオレ病気!?」
「あとは……胸も痛いって? それってここじゃない?(ぐにー)」
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「(ぐにぐに)」
「うわ、なんかすっとする。なんかじわーっと気持ちいい。おまえの手、なんかハンドパワー出てるんじゃね!?」
「そうだね。今まで秘密にしてたけど魔法の手だからね(マッサージ乳液)」
「うっそ! すげー! 店とか開けるんじゃね!? な、マッサージ店!」
「(乳液のボトルを見せる)……兄ちゃん、馬鹿だよね」

「馬鹿だね」と同意する母。
「やっぱ肩こりじゃん、馬鹿〜」と呆れる兄嫁。
「え、乳液塗られてんの気付かなかったの?」と驚く甥っこ。

一通りアレをアレして、静かになった兄に、
「とりあえず死なないし、病院行くなら整形外科だけど、肩こりだねっつーて湿布出されるだけだよ」
「肩こり……これが肩こり……肩は痛くないけど……これがこってるってことか……」
40も半ばを越えて、兄は初めて「肩こり(首こり)」を知りました。

肩と首を揉んでいる間じゅう、兄は奇声を上げてました。集合住宅だったら軽く通報されそうな感じの。
あと少し修行すれば、兄はリアクション芸人になれるかもしれない。
騙されやすいし。