「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

品格を問う。


私の職場には、女性社員が結構多いです。
編集や制作、ライターといった職業の人に文系女子が多いことに加え、営業さんにも文系が多いので、必然的に女性比率が高くなるのでしょう。
その中で、非常に楽しげな方が2〜3人いらっしゃいます。
そりゃもう、真っ昼間の職場内とは思えないほどに、楽しそうに賑やかに高らかに笑い声を何度も何度もあげるのです。
音に表すなら、「ぎゃはははははっ!!!」と。
こちらも少々集中力を要する仕事である上に、お客さんと電話で話すことも多いので、職場内に響き渡るほどの笑い声をたてていただけると、気分転換となって非常に仕事がはかどり、電話相手のお客さんも心和む様子です。


さて、その2〜3人というのは、だいたい同じような年代の女性社員です。
全員が20代半ばですね。
つまり、社会人として数年を経験しているというのがポイント。
新入社員じゃないし、学生バイトでもないわけです。
「ああいう人に限って、今話題の『女性の品格』とやらを読んでるんだよな……」
と呟いたのは、私の正面に座る男性ライター。
「読んで、『なるほどねー、おっけー、コレであたしの品格アガタ』とか言ってんだよ」
と私。
まったく、ああいう方々が雑誌名を名乗って外で営業しているのかと思うと、誇り高い思いでいっぱいです。


…………。
……。


向こうの気持ちとしては、営業というのは時間が不規則な仕事だし、外でオシゴトモードになるのが基本なわけで。
だから、社に戻ってきた時は休息タイムでもいいじゃない、という感じなのでしょう。
そして、例えば大声で文句をわめきちらしているわけでもなく、ただ同僚と談笑していたらほんの時々楽しくなっちゃうだけなんだから、明るい職場ってことでいんじゃね?みたいな。
なるほど、一理あります。


けれど、すぐ近くには仕事の電話をかけている人間がいるんです。
貴女たちは休息タイムなのかもしれないけれど、同じフロア内のすぐ近くで仕事をしている人間にとっては、15時過ぎから18時にかけてというのは、もっとも仕事が立て込む時間帯なんです。
そして、キミタチが取材シートをきっちり埋めてこないせいで、本来は「書くだけ」が仕事の私たちライターが先方に電話をかけて必要な情報を聞き出さなきゃいけなくなってるんです。
何よりも、そうやって先方と電話でお話している間に、その笑い声が受話器の向こうに届いたら、先方はどう思いますか?


何ヶ月も前からそんな状況で、おそらくやんわりとした注意は受けているかと思うのですが、一向にやむ気配はありません。
ということは、社会人としてその状態は正しいと、自分に反省すべき点はないと思っているんでしょうかね。
今日は一段と高い笑い声をあげていて、うっかり溜息が出ちゃいました。
明日から軽く地獄が始まりそうなのに、それが彼女たちの笑い声で彩られるかと思うと、溜息も倍増(当社比)です。


私は電話口でその雑誌名を口にする人間として、彼女たちの存在が恥ずかしい。


誰かに誇ってもらえる人間になろうよ。