「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

少し前の話。

友人Hのおうちへ、友人Sと私の2人がお邪魔した時のこと。
Hには子供が2人います。娘(4歳)と息子(1歳)。
そして、私とSは2人とも子供が苦手です。
その苦手っぷりは、札幌屈指と言えるんじゃなかろうかと自負しているくらいです。


息子はただひたすら、あーとかうーとか言いながらにこにこ笑ってるだけだったので、特にどうということもありませんでしたが、やはり4歳の娘は喋り盛りの生意気盛りです。
「Kちゃん(注:私のこと)とSちゃんは、Nのおうちに遊びにきたのね」
とか言いながら一生懸命話しかけてくるので、とりあえずSが言って聞かせます。
「そう、だけどあなたのところに遊びにきたんじゃないのよ。あなたのお母さんのところに遊びにきたのよ」
私たち以外に訪れるであろうHの友人たちは、ママ友でしょうから、それなりに子供の相手も心得ていることでしょう。けれど私たちは違います。ひと味ところじゃなく違います。
「他のお客さんはおまえと遊ぶんだろうけど、今日のお客さんは遊ばないお客さんなんだぞ」
私も言い添えます。
子供相手になんてことを。


まぁそれくらいで、おとなしくなるような4歳じゃありません。
「お手紙書くからね、SちゃんもKちゃんも受け取ってね」
どうすればいいんだと困惑すると、
「受け取るだけ受け取って、後でこっそり捨てていいよ」
とHが苦笑。
お手紙(?)のやりとりをしながらも、子供嫌いで通っている私たち2人は、ことある毎に子供に言い聞かせます。
「いい? あたしたちはあなたのお友達じゃないのよ。お母さんのお友達なの」
「N(←呼びすて)、おまえ幾つだ? 4つか。ならこっちは随分と年上なんだから、それなりの礼儀を持て」
「まぁ、ちゃん付けは許すわ。おばちゃんって呼ばれるのもイヤだから」
ヒドイ。
2人ともヒドイ。
鬼がいます。


それでも当の娘は結果的に私たちを自分の友人だと認識したようで、H宅からの帰途、Hの運転する車で地下鉄まで送ってもらっている間にも、何やらずっと話しかけてきます。
「KちゃんもSちゃんももう帰っちゃうの?」
「うん、帰る」
「今度いつくる?」
「さて、いつかな」
地下鉄駅周辺で、Hが右折のタイミング待ちをしているところで、娘は更に話しかけてきました。
「KちゃんとSちゃんのおうちここ? ここに住んでるの?」
ここ、と指さしているのは、地下鉄駅に直結しているデパートです。
「うん、そう」
と適当に答えました。


これが2週間ほど前の出来事。


そして数日前、ちょっとした所用があって、Hが仕事帰りに私の部屋に寄りました。
近況話の途中で、ふとHが漏らしたひとこと。
「最近うちの娘がさ。地下鉄駅の近くを通るたびに、『SちゃんとKちゃんのおうちここだよねー』って言うんだよね。あそこから帰っただけなのにねー」
「…………」
「あのデパート指さしてさ、『ここに住んでるんだよねー、すごいねー』って」
「……ごめん」
「ん?」
「……あいつに『ここに住んでるの?』って聞かれて『うん』って言った」
「…………」


子供ってスゴイね!