「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

作り手のジレンマ。

副業で……と言い切れればいいのだけれど、まぁまだ趣味の延長もしくは道楽のようにやっているお裁縫。
バッグや小物類をぽいぽいと作っては、モバオクなんかに放り込んでいます。
売れ行きがいいのは猫モノ。もう猫モノ専門になろうかなんて思うくらい。
もっと強気の値付けが出来れば多少なりと黒字になるのかしら……とか。

で、オクでの取引なので、お買い上げいただいた方は「評価」というのをしてくれます。
商品到着の合図でもあり、「ちゃんとした取引ができる人ですよ」という、外へ向けてのアピールでもあります(出品者・落札者ともに)。
商品の感想を書いてくれる方も多いです。

「丁寧に作られていて、まるで既製品のようでした。素敵なお品をありがとうございました♪」

とか。

いや、ほめられるのは嬉しいんですが、「既製品のよう」は色々と迷うところ。
「安心して使えます」的な意味合いで言ってくれてるんだろうけれど、そもそも既製品だって、工場の誰かの手作りでは? 安いものなら裁断までは機械だろうけれど、縫製は工業用ミシンで誰かがだーっと縫ってるんだよね。
なんてことを思い始めると、心は揺れます。

そして逆にこんな感想をいただいたことも。

「ハンドメイドの温かみを感じられる作品でした」

手作りならではの……ああ、これ、うちのママンがよく言うわー。モチーフの大きさが揃わなかった(といっても1ミリ前後の違い。ものが小さいので)時に、「手作りならではだよね!」って。自分を納得させるように。
ってことは、「多少不格好だけどハンドメイドのぬくもりってことで」的な!?(ほめられてるはずだから、多分違う)

そしてそうやって複雑な思いを抱いた時に、じゃあ自分は何を目指していたんだろうと時折考える。
実は、バッグなりポーチなり服なり、自作のものを身につけている時に、「それ、手作り?」と聞かれるのは恥ずかしいのだ。見た瞬間に手作りとわかるのならば、なにがしかの瑕疵があったのかと思って。
大抵は、私がそういう趣味を持っているのを知っていての発言なので、そう勘ぐることもないんだけど。

でも、気付かれるのがいやだというのであれば、私は「既製品のような作品」を目指しているんだろうか。
それはそれで違うような気もする。
ただ、例えば文庫本カバーなどは5枚10枚と一気に作ることが多い。そんな時はまるで工場みたいだと思う。
バッグ類もそうだ。文庫本カバーと違って製作時間がある程度かかるから、1日に10個もは作れないけれど、同じ形で生地違いとか色違い、レースを変えてみる、タグを付けてみるなどはよくやる。
まだまだスキルアップの途中なので、1個目より2個目のほうが確実に巧くなるし、10個目はさらに巧くなる(…と思ってる)。
それは、工場に近づくことなんだろうか。
そう考えると、技術が上がっていけば「ハンドメイドならではのぬくもり」は失われることになるんだろうか。

……と、ここまで考えて、ふと母親のことを思い出す。
以前にもブログに書いたが、うちの母親は昔、編み物で金銭を得ていた。
家庭用の編み機が流行った頃、近所の編み物教室の先生から編み機を買い、講習を受け、多少なりとスキルが上がったところでその先生から紹介されてセーターなどを編んでいた。
当然、同じ編み機で同じスキルを使って、彼女は私と兄のセーターも編んだ。それは「売り物と同じ技術で作られたハンドメイド品」ではあったけれど、私はそれを「お母さんの手作り」と思って着ていた。今でも、幾つかのセーターの柄を覚えている。そこに「ハンドメイドのぬくもり」はあったと思う。けれど、母が編んだものをお金で買った人たちはそこに同じぬくもりを感じただろうか。

んんー。そこはとらえ方次第か。
既製品でないものは何なのかというのなら、それは、素人のハンドメイドもしくはプロによるオーダーメイド品だ。
「既製品みたいな仕上がり」というのであれば、「素人のハンドメイドとは思えない」と評してもらったことになる。
「ハンドメイドならではの温かみ」というのであれば、「既製品にはないぬくもり」と評してもらったことになる。
ポジティブにとらえれば、どちらの感想もとてもありがたい。
そしてそもそも、お金を出してハンドメイド品(オーダーメイドではなく)を買うことを否定してしまっては、私の道楽的副業が成り立たない。

どちらにしろ、まだまだ、ようやくセミプロになったくらいか。ものによってはアマチュアだし。
というか、個人でちまちまとオクに出すからアマチュア〜セミプロをうろうろするのか。
ネットショップとかレンタルスペース登録するくらいやっちまえば、脱アマチュアできるのか。
それでやっていけないならまだまだアマチュアだということかも。

ただなー……本業のペース配分もあって、なかなかコンスタントに製作できないのが厳しいところ。
せめて胸を張って「副業」と言えるくらいにしたいな。
 

最近、文字ばかりの更新が続いてるので、写真も貼っておく。
猫モノ。