「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

不審物。

18日深夜、札幌市内の住宅で不審物が発見されました。
発見当時、在宅していたのはこの住宅に住むM川さんとC子さん。
第一発見者のM川さんはこう語っています。
「ええ、最初は何かわかりませんでした。同居しているC子の吐瀉物の一部かとも思ったんですが、ティッシュ越しに触ると吐瀉物よりも明らかに固く、その色も濃かったんです。いえ、違います。寝室だったので床は木製フローリングでした。近くに洋服などが数枚置いてあったのですが、そこから少し離れたところにぽつんと落ちていました」
M川さんによると、不審物の形状は、直径1.5cm、長さ2cmほどの焦げ茶色の塊で、異臭を放っていたとのことです。
調べによると、この不審物は違法な物である可能性が高く、当局では、同居しているC子さんが何らかの事情を知っているものとして捜査を進めています。
以上、ニュースヘッドラインでした。


……C子さん。まず座りなさい。


──さて、18日の夕方から深夜にかけて、君の行動を教えてもらえるかな。
「まさか、私が疑われてるんですか」
──いや、これは形式的な質問で、関係者全員に同じ事を聞いているんだ。
「違法なことは何もやっていませんよ」
──同じ日の夕刻に、不審物とよく似た物が書庫の入り口で発見されたことは知っているか?
「……知りませんね」
──18日、午前中にM川が仕事へと出かけてから、18時過ぎに帰宅する迄の間、室内は君だけだった。M川は帰宅後、書庫入り口の床で、不審物を発見、処理した。その後、M川は寝室で着替えを済ませ、居間へと移動している。
「夕刻発見された物と深夜に発見された物とは別ですか」
──おそらく同種の物だろう。
「ハッ、おかしいじゃありませんか。ならば何故、M川は夕方、寝室のそれを発見出来なかったんです? そう、今思えば奴こそ怪しいじゃありませんか。同じ物が夕方から既に書庫と寝室にあったのなら、書庫のものを見つけて処理した際に、寝室の不審物に気が付いてもいいはずだ。明かりを付けて着替えまでしているのに気付かなかったというんですか? ……そういえば、その日に限って、奴はいつもより早い時間にトイレ掃除をした。その際に、奴自身がそれを持ちだしたのでは? そして私を陥れようとしている!」
──M川には動機がない。
「私にだってありません。ああ、そう、寝室の窓が開いていました。密室ではありませんね」
──夕刻に発見されたものと、深夜に発見されたものが同一のものであることは鑑定によって証明されているんだよ。
「……そうですか、鑑定が……。仕方がない、全てお話しましょう」


「それはM川が帰宅する2時間ほど前のことでした。私は書庫にあるトイレで用を足し、トイレを出る際に『それ』を踏みつけてしまい、トイレの外へと持ちだしてしまったのです。書庫を出る前に一片は落ちました。けれど、もう一片あったのです。書庫から寝室へと私が移動した際に、寝室で残りが落ちたのでしょう。そう、寝室にあった物も、夕刻に発見できたはずなんだ。けれど奴は気付かなかった! ただそれだけのことだ」
──寝室で発見された物には足形が付いていなかった。
「ならば毛の先にでもぶら下がっていたかもしれませんね」
──現場で違法行為をしたのでは?
「まさか。長さ2cmといえば指の先ほどですよ。そんな器用な真似は出来ません」
──では、口でくわえて運んだ?
「いいえ。鑑定したなら知っているはずです。現場で発見された物は乾いていたはず」
──故意に寝室へ運んだのではないのか? 例えば……そう、同居人への嫌がらせ目的で。
「……黙秘します。弁護士を呼んでください」


まぁ何が言いたいかというと、すっかり書くのを忘れていたんですが、3日前に寝室で小さなウンチョスを1つ発見したんです。
クロさんがトイレで用を足した後、自分で踏んづけて、そのカケラがトイレ付近に落ちているのはごく稀にあることなんですが、寝室で見つけたのは初めてで、しかもそれがそこそこ形になっていたのも初めてで。
でも、そこで用を足したにしては少量過ぎ。ていうか、フローリングの床でなんかやらないよね。
でも踏んだにしては足形付いてなくて。
夕方、書庫入り口で1つ発見(こっちは足形付いてた。踏んで運んだと思われる)。
そしてその後、寝室で私は着替えをしているのに、まるで気付かず、深夜、寝る間際になって寝室の床にもう1つ発見(足形無し)。
寝室に落ちていた物のほうが、書庫に落ちていた物よりも大きく、形がしっかりしていました。
たまたま外に転がり出しちゃったソレをクロさんが転がして遊んだ(?)んですかね……(注:寝室と書庫は近い)。
謎だ。
それにしても、踏まなくてヨカッタ。