「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

順不同。

そういえばしばらく読書日記を書いていませんでした。
といっても最近は、今更ながら森博嗣のVシリーズ(『黒猫の三角』から始まる10冊)を(知人に借りて)読んでいたり、S&Mシリーズを再読したり、とあるゲームのルールブックなんかを読んでいたので、それ以外のものはあまり読んでいませんが。
森氏の作品は、S&Mシリーズと四季シリーズしか読んでいなかったので、Vシリーズは新鮮でした。
ただ馴染めないのがあのネーミング。主要登場人物たちを全て「一風変わった名前」にする真意はどこに。
あ。そういえば、森氏のは、「スカイ・クロラ」シリーズを少し前に読んだんだった。
全5冊。カバーが鶴田氏だったので、新書版を買いました。

スカイ・クロラ (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

スカイ・クロラ (C・NOVELS BIBLIOTHEQUE)

嫌いじゃない世界観と書き方ですが、読み手に多分の想像力が求められます。
私には飛行機の知識がないので、「ストール・ターン」とか言われても、まるで未知の言語に接するように、文脈と過去にそれが使われた時のTPOを考えて想像するという手法で読んでいく羽目になりましたが。
でも「スカイ・クロラ」シリーズを読んだ後に、Vシリーズを読むと(刊行はVシリーズのほうがずっと前)そこで単語の説明を紅子さんがしてくれていたのでした。
うん、面白かったですよ。
「企業」として戦争をする時代、大人にならない異端の子供たちが戦闘機に乗って戦争をする日々。けれどそこには血腥さはなく、淡々とした、それでいて純粋な物語。全てを一人称で語ることで、いろんな境界がぼやかされるような。


以下、普通の読書日記。


『果てしなき渇き』(深町 秋生)

うーん、黒い(笑)。ノワール小説です。
あまり評価は高くないようですが、人物に魅力があまり無く、ストーリーとしても救いの無い、後味の悪い作品なのに、それでもラストまで読まされてしまうような勢いと文章力はスゴイと思った。


『償い』(矢口 敦子)

うん、悪くはないデス(←偉そう)。ただちょっと、色々なところが甘いかもしれない。
主人公の設定をもっと掘り下げて、それに関わる展開をすればもっと面白くなったかもなぁ、と思ったり。
まぁここは好みの問題ですよね。

『半島を出よ』(村上龍

文庫になったので読んでみました。コノヒトは……なんていうか、「村上龍」なんだなぁ。
経済というものは、正確に分析できていれば近未来の予測が可能な分野なんだ、とあらためて思った次第。それには政治が絡んでくることも多いけれど、ちゃんとアナライズできていれば誤差の範囲内……なのかしら。
ただ、北の国の登場人物も多く、名前を覚えるのが大変でした。
福岡が北の国から襲撃を受けるという設定なので、福岡の人はDOKIDOKIするかも。

ウランバーナの森』(奥田英朗

以前、Ken-K氏と、この作品がこの作家のデビュー作なんだねと話していたんですが、通勤経路にある書店に見あたらず入手が遅くなりました。
読み始める前にことみんのブログで感想が書かれていたので、それはあえて読まずに、作品を読んでみた次第。
で、感想なんですが。
まぁ確かに各国の神話・民話というのはどこか根底の似たものが違う描写をされていたりして、結局同じことじゃん的なものって多いよね。仏教、神道カトリックギリシア神話、その他諸々。ネイティブアメリカンを彷彿とさせるものもあったり、どうせならケルト神話も出せばいいのにとか思ったけど、「森」ってこと自体、それに通じるのかしら……なんて思いました。
医療に関わる部分は、「それは医者としてリアリティなくね?」と思うこともありましたが、読後感は悪くないです。
ただ、最近の奥田氏の最大の魅力のひとつである、文章のテンポとリズムに関しては、この作品ではまだ花開いていないなぁという印象。というかそもそも、この作品での文章には、ちょっと村上春樹の呪いがかかっているなという印象(笑)。
これがデビュー作であることを考えると、そして最近の作品を考えると、刊行順に読んでみたい気にさせられます。彼の文章がどこでどう変わっていくのか、それは一気に花開くものなのか、それともじわじわと押し出されていくものなのか。そこを読んでみたい。


あと読んだものって何だろう。
(というか、実はここに作品名を挙げたものだけで、25冊分くらいになっている)


あ。あとコレ。

くるねこ 2

くるねこ 2

ここの人はよく行き倒れた子猫を拾って世話をしているらしいので、ミルク代の一端にでもなれば……(笑)。