「それでも今日は好い日だ」

猫と裁縫と日常の雑記。

久しぶりの読書日記。


読んでましたが、日記に書いていませんでした。
まぁ、私の書評なぞ参考にしようという人はいないでしょうから、自分用のメモなんですが。


チーム・バチスタの栄光」(海堂尊

流行りモノ。「このミス」大賞選考時に、ものの数十秒で即決。選考委員が褒めちぎったと噂の小説。
確かに面白いです。そしてともすればマニアックな知識が必要とされるのに読みやすい。
リズムの良さやキャラクターは奥田英朗を思い出します。まさにエンターテイメントという感じ。
ただどうして、探偵ガリレオにしろこの作品にしろ、映画化・ドラマ化される際に、野郎同士のコンビが、無理矢理女性と男性になったりするんだろう。別に野郎2人のままでもいいのに。


「完全版 昏睡 かくされた癌」(霧村悠康)
「完全版 摘出 つくられた癌」(霧村悠康)

現役医師が告発する衝撃の医療サスペンス、とかいう帯でした。シリーズで幾つかあるんですよね。とりあえず最初の2作を読んでみました。現役医師が描くという点ではチーム・バチスタの海堂氏と同じなのですが、こちらは限りなくノンフィクションに近い、らしい。「白い巨塔」となんだかものすごく重なるようなカンジ。うーん、これがノンフィクションだというのならまた別ですが、結局はフィクションなんですよね。フィクションであることがいけないんじゃなくて、フィクションであるなら作品としての昇華を目指しませんか、と言いたくなるようなオハナシでした。


「まどろむ夜のUFO」(角田光代

どこかちょっと壊れた人たちの物語。これが94年で、以前の読書日記で書いた他の作品がそれぞれ03年(空中庭園)と05年(対岸の彼女)と考えると、彼女が描こうとしている「壊れた部分」というのがなんとなく見えてきそうな気がします。


「僕のなかの壊れていない部分」(白石一文

これは結構壊れている人の物語。でもこのくらいの壊れっぷりなら、まだわかります。自分の中にもそういう部分はありそうな。


「土の中の子供」(中村文則

本格的に壊れている人の物語。ここまでくるともう、自分と重ね合わせることはデキマセン。自己破壊のニオイがぷんぷんと漂っているあたりが、太宰の「人間失格」を思い出すかも。05年の芥川賞受賞作だそうです。うん。あげていいと思う(←何様?)。


「I'm sorry,mama」(桐野夏生

桐野氏の作品は、いつも少々グロテスクなんですよね。グロテスクさとエロスは時に紙一重だけれど、コノヒトのはグロテスク。そこにある負の感情や、ざわりと肌が粟立ちそうな物語の、その懐に入り込むような書き方をするんですね。なにげにこの作家は好きです。あー、でも作品としては「残虐記」のほうが面白かったカモ。


「アイズ」(鈴木光司

鈴木氏は、「リング」「らせん」でホラー小説の名手とかいわれるようになっちゃったけど、コノヒトはホラーよりもファンタジーを書いたほうが面白い! でもこれはホラー! そんなにコワクなかった!(身もふたもない)


「見知らぬ妻へ」(浅田次郎

せつなさ満載の短編集。んー。まぁまぁ。


「かっぽん屋」(重松清
「哀愁的東京」(重松清

このひと、当たりはずれがあるんですよね……(謎)。
いや、ハズレじゃないです。が、当たりでもないデス。


「床下仙人」(原宏一)

これ、結構面白かったです。ほろ苦いリアリティ(笑)。あー……ひょっとしたらこういうこともあるかもなぁ、なんて思っちゃう作品。短編集に含まれている5編全て、激務のサラリーマンが主役です。ふふっと笑うにはいい本かと。


「神様がくれた指」(佐藤多佳子

出所したばかりのスリの青年と、うさんくさい(?)占い師の友情物語……とでもいうのでしょうか。面白かったです。厚さはそこそこあったんですが、ほぼ一気読み。これはキャラクター造型よりもむしろ、ストーリーとしての面白さでしょう。まる。