老獪なる猫に飼い主驚愕するの巻。
猫の投薬。
1日目:油断しているところを普通に飲ませる。
2日目:やや抵抗し、薬の1/3量をまき散らす。
3日目:抵抗のタイミングが巧みになり、薬の1/2量をまき散らす。
4日目:飼い主の確固たる決意の下に全量を飲ませるが、その後むせ始める。
けふけふという咳き込みに「あ、ごめん。むせた?」と謝るが、その直後に、「ぺっ!」という音。
……ぺ?
見ると、薬だけを器用に吐き出している。
はぁ? なにそれ。どんな神業?
唾液でひとまとめにされた白い塊。
まぁ、2/3くらいは飲んだだろうとみて、よしとする。
5日目:昨日よりも素早い行動を心がけ、舌の奥を狙って全量を注ぎ込む。
その後、くちょくちょべろんべろんと舌を奥で動かす音。
飲み込もうとしているのだなと観察していたら、昨日よりも素早く、咳き込むこともなく「ぺっ!」。
足元には、昨日よりも色濃い塊。
えー……?
粉薬だけって吐き出せるの……っ!? しかも昨日より巧くなってるし。
6日目・7日目:ひと口分のウエットフードに混ぜ、食べさせる。ひと口分を食べ終えてから残りを与えることに。
8日目:昨日よりも「ごちそう」感の強いだろうササミひと口分に薬を混ぜ、空腹による餌の催促を待って皿に。
匂いを嗅ぎ、ぺろりと舐めてそっぽを向く。
だがしかし、そこらの甘々飼い主と一緒にしてもらっては困る。その薬入りのササミを食べないとおまえにご飯は与えられない。
だがしかし、そこらのあきらめの良い猫と一緒にしてもらっては困る。毒入りの餌なぞ誰が食うか。
いやいや、毒じゃねえし。食えよ。
いやいや、不味いよ。
いやいや……
なんのなんの……
ふふふ、おぬしやるな……
おぬしこそ……
(今ここ)
薬の味がするのかと、ササミをもうひと口分増やして混ぜてみたんですが、ちょっと舐めては匂いを嗅ぎ、またちょっと舐めては……の繰り返しで、まだ半口分くらい残っているところ。
その残っている半口分に、薬がたくさん入っているような気がしてならない。
おそらく腹が減ってるであろう猫は、今、絶賛ふて寝中です。
ちなみに、薬のおかわりをもらいに本日、動物病院へ行ってきました。
「体重は……ん! ちょっと減ってますね!」とセンセイ。
「え!?」
「6.7! えーと、前回が6.85だから、150g減ってます! まぁ……機械の誤差もあるかな」
「食欲も排泄も元気も普通ですが……」
「機械の誤差と(ごそごそむにむに)……ん、膀胱におしっこ貯まってないですね。おしっことうんちの分かな……」
「え。膀胱って触れるんですか」
「触れますよ。うんちは……あー……直腸はこの子、触れないですね。届かないや」
「それは……腹の肉が邪魔を?」
「はい」
セツナイ。